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#40 飲食店の家族経営のメリットと気を付けたいこと

個人経営の飲食店には家族経営をしている場合も多く、そういったお店は長く続いている印象も見受けられます。「家族が従業員ということは、雇うよりも人件費がかからないのでは…?」というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
今回は家族経営の人件費、持ち家での営業に関する気になることやメリット・デメリットについて説明をしていきたいと思います。
飲食店の家族経営を検討されている方は、お店を成功して長続きさせるためのポイントや注意点に関しても参考にしていただけたらと思います。

家族経営のメリット

人件費が世帯収入に

飲食店を家族のみで経営している場合、人件費が丸々世帯収入になり利益に余裕をもたせることができます。
もし従業員を雇用している場合、人件費が発生します。飲食店の売上のうち、FLコスト(原価のフードコストと人件費のレイバーコストの二つの経費を合わせて考えたもの)が60%を占めていると言われています。およそ原価が30%、人件費が30%の割合となっています。家族のみで経営していれば、この人件費30%を自身の世帯収入とすることができます。

家族の給与を専従者給与とし節税できる

家族経営であれば、家族の給与は青色申告で専従者給与とし、節税することができます白色申告であれば家族に支払える給与の上限が限られており、経費にも認められません。しかし、青色申告を行い専従者給与に関する届出をしていれば、給与に上限がなくなり、経費にも認められます。さらに収益が100万円未満であれば、家族への給与が月に8万8千円までであれば税金はかかりません
白色申告の場合に比べると、青色申告で専従者給与とした方が大きなコストカットと言えます。
従業員を雇うよりも、家族経営のほうが節税になるといえますね。

自己所有物件であればコストカットに

持ち家、つまり自己所有物件であれば家賃がかからないため、賃貸契約で経営している店舗よりも経費がかかりません(ローンがある場合を除く)。自宅兼店舗であれば水道光熱費も家庭と兼ねて支払うことができ、効率的です。コストカットができるため、利益にも余裕もたせることができます。万が一閉店することになっても現状回復工事の必要がなく、費用がかかるおそれもありません。

精神的にも負担が少ない

感じ方は人それぞれなので一概には言えませんが、家族経営であれば精神的に楽だと思える点がいくつかあるといえます。

人材の募集、教育の必要がない

人を雇うということは、人材の募集のために求人誌に掲載したり面接をしたり、さらにそこから人材教育が必要になり、雇用主には大きな負担のかかる作業となります。この作業をカットできるとなればかなり負担を減らすことができます。

時間に縛られることなく働ける

アルバイトの従業員を雇っていると時給制のため、バタついていても時間で帰すことになってしまったり、延長したとしても時給がかかってしまい経費の負担になってしまいます。そのため雇用主がひとりで仕事を抱え込んでしまう事態になってしまう場合もあります。家族経営であれば時給ではなく落ち着くまで協力して働いてもらうことができますね。

気の知れた家族と働ける

お店を経営していると様々なことが起こり不安を抱えたり、嫌な気持ちになってしまうことがあります。そこでビジネスパートナーが気の知れた家族であれば、心の支えとなってくれますね。

家族経営のデメリット

言葉遣いや接客が雑になってしまう

家族となると普段は敬語を使わずに会話をすることが当然だと思います。しかし、お店に立つとなるとお客さんに対しては通常敬語を使って接客をしますよね。ここで家族経営の場合は、家族同士の流れで言葉遣いが荒いまま接客をしてしまう傾向がみられるそうです。また、業務上の注意であっても家族に対してきつい態度をとったりしてしまうと、お店の雰囲気が悪くなるうえに家族との仲も悪くなってしまいます。さらに、身内感が強くなってしまうとアットホーム感という利点もありますが、新規のお客さんからは入りづらい印象を与えてしまうかもしれません。家族経営とはいえ、言葉遣いや接客態度には気を付けましょう。

プライベートとの区別がしづらい

家族経営するということは、仕事をしている時も休日も家族と共に行動することになります。そのため仕事とプライベートの区別が難しくなってしまう場合があります。きちんと切り替えて体を休ませないと、身体的にも精神的にも負担がかかるおそれがあります。また、仕事の時間に制限がないため、夫婦で経営している場合は子作りや子育てに割く時間がとりづらかったりします。子供のいる将来設計を立てるにしても、お店の経営状況も考えなければいけないとなる場合もあります。

代わりがいない

例えば夫婦二人で経営をしていた場合、配膳を担当している奥さんが体調不良でお店に出られなくなってしまうと、お店を営業すること自体が厳しくなります。複数従業員を雇っていれば欠員を補助できるかもしれない場合が、夫婦二人だけでとなると難しいです
従業員を雇っていたとしても、調理を一人が担当していれば同様なことが言えますが、一人の責任が重くなってしまうため体調管理にも特段気を遣う必要があります。

家族経営でしか出せない魅力で大手との差別化戦略!

家族経営の飲食店の強みと言えば、自由度の高さとそこから出る個性といえます。
大手のチェーン店は大元でブランディングがされ、マニュアルも決まっており、お客さんからも一定の品質を保ったサービスが求められます。そのため家族経営の個人店に比べると自由度が低く、均一化された印象があります。
しかし、個人経営の飲食店であれば仕入れ先も選べ、ちょっとおまけをつけたり、メニューにも店舗のブランディングにも独自性を出すことができます。さらに家族経営の魅力となる接客にしても、家族だからこそ出せる愛嬌と人情があります。画一化されたチェーン店よりも、個性があり、あたたかな対応をしてもられるお店にまた行きたい!と思ってもらえるようなお店を目指しましょう。

家族経営で気をつけたいポイント

一見さんでも入りやすい雰囲気を

家族経営の飲食店の魅力として、アットホームな雰囲気であったり、家族だからこそ出せる息の合ったチームプレーが挙げられます。しかし、時にはこの強みが「身内感が強い」という風に捉えられ、一見のお客さんにはお店に入りづらい印象を与えてしまう可能性があります。昔からの常連さんや親戚などと、店員が仲良さげにして盛り上がっている様子は和やかではあります。ですが新規のお客さんからすると疎外感を感じたりと、居心地が悪くなってしまうかもしれません。
気の知れた家族同士の経営であっても、言葉遣いや接客に気を付けるなどして緊張感を保ちましょう。

家族のトラブルを店に持ち込まない

家族や夫婦であれば、日常生活で喧嘩をしてしまったり不仲になってしまうこともあるでしょう。
気持ちの切り替えは難しいかもしれませんが、お店はお客さんにとってわざわざ足を運んで気持ちよく食事をする場所です。お客さんの前で喧嘩が始まったり、悪い態度をとってしまうことはあってはなりませんね。家族経営であっても商売であることに変わりはないので、たとえ家族の間でトラブルがあったとしてもお店には持ち込まず、営業に集中しましょう。

仕事だという意識を忘れない

家族経営のデメリットの「プライベートとの区別がしづらい」でも触れましたが、家族経営の場合仕事とプライベートの区別が難しくなります。そのため、本来従業員同士で指摘し合うべきようなことが曖昧になってしまったり、言葉遣いが悪くなってしまったり、お店の管理や接客が適当になってしまうおそれがあります。家族同士であっても仕事であるという意識を忘れず、敬語を使ったり指摘しあったりしてより良い店舗を協力して目指しましょう。

家族以外の従業員にも平等な対応を

家族以外にも従業員を雇う場合もあると思いますが、ここで気を付けたいのが従業員に対する対応です。家族の中に外部の人間が入った場合、家族の待遇を良くして従業員に対しては給与が安かったり、不当な対応とってしまうというトラブルが起こってしまうことがあります。また、逆に家族だからといってないがしろにしてしまう場合もあります。家族と外部の人間が両方いたとしても、そこに差別が生まれてしまってはいけませんね。従業員であるという立場には変わりないので、平等に接することが大切です。

代替わり・事業継承時に注意しておきたいこと

家族経営であれば親から子へ店を引き継ぐ、いわゆる代替わりが起こり得ると思います。
しかしここで注意しておきたいことは、代替わりをする場合であっても一度廃業の手続きをしなければいけないということです。オーナー(親)は廃業届を出し、受け継がれる次のオーナー(子)は開業届を出す必要があります。
また、子供に無償で譲渡する場合は贈与税が発生し、売却する場合でも親の資産を買い取るための契約が必要になります。
親から子への事業継承であったとしても、届出を提出し、必要な手続きをとらないと法的に罰せられることになります。
代替わりの際は忘れずに手続きを行いましょう。

まとめ

今回は飲食店の家族経営のおすすめできるポイントや、注意しておきたいことについて紹介させていただきました。安心感のある大型チェーン店も良いですが、家族経営の飲食店はマニュアル接客では得られないサービスや個性が光っていてとても魅力的ですよね。家族で協力してお店を作っていけるからこそ出せるアイデアがあるのではないでしょうか?もちろん家族間だからといって、緩みのある接客や経営になってしまわないよう緊張感はもっていなければいけません。
経費の面でも多くのメリットがみられる家族経営です。もしこの記事を読んで検討されているオーナーさんがいらっしゃれば、まずはご家族に相談してみてはいかがでしょうか?信頼できる家族がこれからのビジネスパートナーになるかもしれません。

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