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#32 飲食店を開業するのに加入しておきたい保険とは?

飲食店を開業するとなれば、オーナーさんはやらなければいけないことも多く多忙を極めるところかと思います。しかし、ここで忘れたくないのは保険に関してです。開業に必要な社会保険以外にも、ここではぜひ加入していただきたい任意保険について説明していきます。飲食店には火災、食中毒、お客様とのトラブルなど様々なリスクが付きものです。何かが起きてしまったときに、自店を守っていくための保険について、保険の種類や選び方のポイントについても紹介していきたいと思います。

飲食店を経営するなら加入したほうが良い?保険のメリット・デメリット

飲食店を経営するうえで、万が一に備えて保険に加入しておいたほうが良いのか?と迷ってしまうオーナーさんも多いかと思います。そもそも保険といってもどの保険が必要なのかがわからなかったり、加入したいと思っても料金が高く、掛け捨てになってしまうことがもったいないというデメリットの部分が気になってしまいますよね。しかし、飲食店は飲食物や調理で火を扱ったり、従業員やお客様など多くの人間が関わるため、経営していくうえで様々なリスクをはらんでいます。火事で店舗が損傷してしまったり、食中毒を起こしてしまいお客様が被害を被ってしまったときには、高額な費用を負担しなければいけない場合があります。もしもそうなってしまったときに、任意保険に加入しておくことで対応することができます。自店では対応できない部分を保険で賄えるようにしておけば、飲食店の経営も安心して行えますね。

飲食店は事業用と居住用どちらの保険に加入すべき?

飲食店が保険に加入する場合は、「事業用」保険に加入することになります。事業用と居住用ではカバーできる補償内容や保険料が大きく異なってきます。飲食店を経営していくうえで、火災保険以外にも備えておきたいリスクが多くあります。次の項目で事業用の保険の種類とともに、あらゆる補償内容について説明していきたいと思います。

飲食店向け任意保険にはどのようなものがあるのか

施設賠償責任保険

「施設賠償責任保険」とは、店舗施設を利用する際にお客様に怪我をさせてしまったり、損害を与えてしまった場合の補償に対応してくれる保険です。たとえば床が濡れていてお客様が転倒して怪我をしてしまったり、料理を運んでいてお客様の服にこぼして汚してしまった際の補償金の支払いに適応されます。また、調理の際の不注意で火災が起きてしまった際に、近隣の建物の破損や歩行者の怪我の補償にも対応できます。 気を付けていたとしても、万が一お客様や近隣に損害を与えてしまったときに、施設賠償責任保険に加入していることで補償をすることができます。

火災保険

飲食店は火を扱うので、「火災保険」には加入しておきましょう。火災保険は任意保険ではありますが、賃貸契約で加入が義務付けられている場合も多いようです。火災保険は火災によって失った、自身の財産に対する損害賠償保険であり、店舗の場合は設備や備品などの損害に対して適応されます。補償の内容に関しては保険会社やプランによって異なるため、加入の際にはよく確認しておきましょう。

借家人賠償責任保険

「火災保険」で火災保険について「自身の財産に対する損害賠償保険」と説明しました。しかし、飲食店の店舗が賃貸で大家さんから借りている場合、火災が起きて損失させてしまったらどうなるのでしょうか?この場合は大家さんの財産を損失させてしまったことになり、賠償責任が生じます。この場合の補償に対応できるものが「借家人賠償責任保険」です。借家人賠償責任保険はいわば火災保険ですが、補償の対象が自身ではなく、建物のオーナーである大家さんになります。この保険は単独で加入することができないので、火災保険のオプションとして付ける形になります。開業時に加入していない場合でも途中から付け足すことが可能なので、加入せずすでに営業している飲食店のオーナーさんには後からでもぜひ付けていただきたいオプションではありますね。

生産物賠償責任保険(PL保険)

飲食店を経営するうえで考えられるリスクのひとつとして食中毒があります。「生産物賠償責任保険(PL保険)」とは、食中毒が発生してしまった場合など、提供した料理や食品でお客様に被害を与えてしまった場合の補償に適用されます。もしも食中毒が起きてしまったらお客様への賠償責任や、営業停止など店舗にとっても多大な損害が及びます。生産物賠償責任保険(PL保険)ではお客様に対する損害賠償の費用以外に、店舗に対する売上や給与などの補償をオプションで付けることができます。

店舗休業保険

「店舗休業保険」とは「4生産物賠償責任保険(PL保険)」でも触れた食中毒による営業停止や、災害などで休業を余儀なくされた場合の粗利益分が補償される保険です。やむを得ず営業を停止した場合、利益がなくなってしまっては経営の継続が困難になってしまいます。店舗休業保険はそんな場合に店舗を救ってくれる保険です。ただし、法を犯していたり、経営者や従業員の起こした事故など店舗に過失があるとみなされた場合は補償の対象とはみなされません。また、万引き被害も補償対象外となりますが、大きな窃盗事件が起こり営業ができない場合は補償されます。

従業員のための保険

従業員を雇用しているなら「労働保険」に加入しなければなりません。労働保険とは、従業員の負傷や病気、死亡した際に適用される「労災保険」と、失業した際に適用される「雇用保険」のことを指します。まず、労災保険は正社員、アルバイト・パートの雇用形態に関わらず加入が義務付けられており、保険料も事業主の全額負担となります。次に、雇用保険に関してですが、この保険はある条件を満たした場合加入する必要があります。その条件とは「一週間の所定労働時間が20時間以上」と「31日以上継続して雇用される見込みがある」の二つです。これらを同時に満たしていない場合は加入の義務はありません。雇用保険の保険料はは事業主と従業員の双方で負担する形になります。また、アルバイト・パートなどの非正規社員といわれる立場の従業員も、社会保険に加入できる店舗のほうが人材が集まりやすい時代となっているため、検討しておきたい点ではありますね。

その他加入しておくと安心な保険

ノーショー保証

「ノーショー」とは無断キャンセル問題のことを指しますが、この被害は近年大きな課題とされています。その対策としてノーショーを保証するサービスを提供する企業が増えています。

ネット炎上保険

近年はSNSの普及でネット上での炎上騒ぎをよく耳にします。SNSをお店の宣伝として活用している飲食店も多いため、トラブルに発展する可能性がないとはいえません。SNSでの発言や従業員の行動などでネット上で批判をうけた場合、事態の収束にかかる費用を補償する保険がいわゆる「ネット炎上保険」といわれるものです。

人格権侵害賠償責任の補償特約

飲食店を経営していくうえで、無銭飲食などのトラブルが発生する可能性が考えられます。ただし、間違えてお客様を捕まえてしまうと、お客様に対する人格人権侵害となり賠償責任が生じます。そのような場合に陥ってしまったときの補償に適用できるものが「人格権侵害賠償責任の補償」の特約です。

「店舗総合保険」とは?

店舗総合保険とは火災保険の一種で、基本的な居住用の火災保険の内容に、店舗を運営するうえで考えられる様々なリスクに対する補償が加わったものです。主な補償の対象になる例として、火災や爆発、落雷、風害、水害、落下や衝突による損害、水濡れ、破壊・暴力行為、盗難など幅広い補償内容となっています。しかし、地震による被害や地震によって発生した火災、津波はこれらの補償には含まれないので注意が必要です。地震保険は単体での加入はなく、地震による被害に対する補償をするには店舗総合保険や事業用の火災保険に「地震拡張担保特約」・「地震危険担保特約」をつけることになりますが、居住用に比べると割高になります。また、「飲食店向け任意保険にはどのようなものがあるのか」で説明した「施設賠償責任保険」、「借家人賠償責任保険」、「生産物賠償責任保険(PL保険)」、「店舗休業保険」の補償内容を特約として付けることができます。店舗総合保険は複数の保険の補償内容がまとまっているので、それぞれの保険を契約するよりも管理がしやすいのもメリットですね。 ただし、これらの補償内容は保険会社によって異なるので、加入の際には確認しておきましょう。

飲食店の保険選びのポイント

保険料と補償金額

飲食店の保険料は「店舗面積」と「補償金額」によって決まります。補償金額が高額な保険に加入していれば大損失を被った際にも補償されますが、その分保険料が高くなってしまいます。そして、たとえば最大補償額が1,000万円だったとしても実際の被害額が500万円であれば、500万円分しか補償金が出ません。せっかく高い掛け金を掛けていてもこれではもったいないですよね。店舗経営のコストを削減するためにも、補償金額と保険料の兼ね合いを考えて選びたいですね。

オプションで付けられる特約

保険にはオプションとして付けられる特約というものがあります。先ほど「『店舗総合保険』とは?」でも説明しましたが、たとえば店舗総合保険の特約には「借家人賠償責任補償特約」という特約をオプションでつけられます。これは「借家人賠償責任保険」の補償内容を特約として店舗総合保険の補償内容に加えることができるということです。このようにぜひ付けておきたい特約もありますが、もちろん特約を付けるとその分保険料は高くなってしまいます。火災の後の後片付けや、仮店舗で営業する費用を補償してくれるなど手厚い内容の特約もありますが、自店に必要なものであるかどうか見極めて選ぶことが重要です。

不動産会社がおすすめする保険との比較

開業する際に賃貸契約を不動産会社と契約するのであれば、不動産会社から保険をおすすめされる可能性があります。しかし、ここですすめられた保険が必ずしも自店に合っているとは限りません。ここまで説明してきたように、掛け金が高くなってしまったり、自店には不要な補償内容まであったりするともったいないですよね。少し手間はかかってしまいますが、他の保険とも比較して慎重に選ぶことが大切です。

保険に加入するには?

保険会社と直接契約

まず自身で保険会社を選び直接契約をするという方法があります。実際に保険会社の社員から説明を受けたうえで、自分で他社の保険と比較して決めることになります。保険の内容について詳しい話を聞いたり、質問をしたい方には良いですね。

保険代理店と契約

保険代理店とは、複数の保険会社を扱い、顧客と保険会社の仲介となる事業のことです。保険内容の説明や保険金の請求の関する手続きなど、様々なサービスを行っており、いわゆる保険の相談窓口といえます。また、公平な立場で保険を複数提案してくれるので、「保険をどうやって選んだらよいかわからない」という方にはおすすめです。

インターネットで契約

少額短期保険であればインターネットで契約できるものもあります。直接保険会社から説明を受ける時間がとれなかったり、契約に時間をかけていられないという方にはおすすめです。保険会社の社員を直接介さないため、比較的保険料が安くなります。しかし、自身で他社の保険や補償内容などを比較して決める必要があるため、「保険についてあまり詳しくない」という方にはおすすめし難いです。

まとめ

今回は飲食店を経営するうえで加入しておきたい任意保険につて解説しました。保険といっても店舗用となれば個人で加入する保険や居住用とは異なってきて、何から始めて何を選んだらよいかわからないというオーナーさんも多いかと思います。まずは飲食店で起こり得るリスクを考えて、そのリスクを補うためにはどの保険が必要かを考えましょう。今回紹介した任意保険は飲食店で可能性のあるトラブルに対応できるものとなっているので、ぜひ加入を検討していただけたらと思います。「店舗総合保険」などさまざまなリスクに対応している保険もあり、さらにオプションとして特約をつけることでより必要な補償も加えることができますね。補償内容は自店に必要なものを選んで、保険料とのバランスも考えてランニングコストも抑えていきたいです。「自分だけではどの保険を選んだらよいかわからない…」と不安に感じるオーナーさんは、保険会社や保険代理店に相談してみるのもよいでしょう。保険選びは今後店舗の経営を維持するためにも重要な選択になってくるため、慎重に行いましょう。

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