昨今メディアでも目にすることが多くなったSDGs(エス・ディー・ジーズ」ですが、取り組んでいる飲食店はまだ多いとはいえない状況です。飲食店には身近な食品ロスの問題から、環境、貧困、飢餓の問題まで実は取り組めることがあり、求められています。今回はSDGsの目標に沿って、飲食店が取り組めることを実際の事例もあわせて紹介していきます。まだ取り組みが多くはない今だからこそ、環境意識を高く持ったお店として評価を得られるチャンスです。SDGsとは何なのか、自店であればどのような取り組みができるのか参考にしていただけたらと思います。
目次
「SDGs」とは?
「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」とは、「Sustainable Development Goals」の略称であり、「持続可能な開発目標」という意味です。2015年9月の国連サミットにて、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標として採択されました。具体的にはSDGsは17のゴール(目標)と169のターゲット(指標)から構成され、2030年までに達成することを目標としています。例えば「1・貧困をなくそう」から「17・パートナーシップで目標を達成しよう」まで、貧困や飢餓、環境問題などの様々な問題を17の目標として設定しています。169のターゲットはこれら17の目標の達成基準となるものを示しています。
難しい表現になってしまいましたが、つまりは国際社会が抱えている様々な問題を2030年までに世界のみんなで解決していきましょうという目標です。
飲食店が取り組めるSDGsは?
食品ロスの削減
食品ロスの削減は、SDGsの「12・つくる責任 つかう責任」の目標に該当します。日本を含む先進国では食品の廃棄率が高く、飲食店業界も食材の廃棄や食べ残しが出ないような取り組みが求められています。例えば期限切れの食材が出ないように仕入れの調節や、廃棄間近の食品の存在を伝えてくれる便利なアプリを活用するのも良いですね。また、食べきれなかった分をお客さんが持ち帰れるような準備をしておいたり、手が付けられないような付け合わせの食材をなくしたり、子供やお年寄り向けの少量メニューの提供でも食べ残しを減らすことができます。客単価が落ちてしまったり、持ち帰りに関しては衛生面で気を付けなければならない点もあります。しかし、お店がSDGsに取り組んでいるというアピールをすることで、SDGsを意識しているお客さんからはお店に関心を持ってもらえるでしょう。
プラスチックごみの削減
プラスチックごみの削減は、SDGsの「14・海の豊かさを守ろう」や、「13・気候変動に具体的な対策を」、「15・陸の豊かさも守ろう」などの環境問題への目標に該当します。私たちの生活に欠かせないプラスチック製品ですが、リサイクルされなかったプラスチックによる海洋汚染など、環境汚染の深刻な問題となっています。飲食店で取り組めることとしては、もし使い捨てのスプーンやフォークを使用していれば、洗ってリユースできるものに変更をしましょう。ストローや持ち帰り用の容器もプラスチックではない別の素材のものを用意できると良いです。プラスチックは石油から作られていますが、石油はいつか枯渇するかもしれない化石燃料です。資源を大切に使っていくためにも、プラスチック製品から切り替えられるものは変えていきましょう。また、プラスチックではないですが飲食店でよく利用される割りばしも、同じくリユースできるものに変更することが環境問題への取り組みになります。容器や食器などの使い捨てを減らして、リユースできるものや環境に負担が少ない素材に変えていくことが飲食店には求められています。
トレーサビリティの意識
トレーサビリティとは、原料・生産・消費・廃棄までの全過程にいつ、どこで、だれがどのように作られたのかを追跡できる生産管理システムのことを指します。食品においてもどのように流通して販売されているかがわかれば安心できます。例えばスーパーで見かける、「私たちが作りました」と生産場所、生産者の名前と顔写真が表記されている野菜がそうです。このトレーサビリティを意識することはSDGsの「12・つくる責任 つかう責任」の目標に該当し、お客さんに信頼できる食材を使って料理を提供することが飲食店にできる取り組みとなっています。食材は農薬や添加物の使用の有無で安全性が問われ、また海外からの輸入品であれば不透明な点も多いです。
また、発展途上国の食品の生産において、子供を働かせたり不当な待遇で労働させるという問題もおこっています。このような問題を解決するために、公正な価格で輸入を目指し「フェアトレード」という制度が生まれました。フェアトレード製品は、発展途上国の人々が不当な労働をさせられずに、適正な価格で取引がされたものであることを証明しています。これはSDGsの「1・貧困をなくそう」、「8・働きがいも 経済成長も」、「16・平和と公正をすべての人に」など他にも多くの目標に該当します。
飲食店もフェアトレード製品を選ぶことで、海外の人々を支援する取り組みに繋がるのです。
サステナブル・シーフードの活用
サステナブル・シーフードとは、海の生態系や自然環境に配慮し、持続可能な漁業で適切に管理されたMSC認証を取得している水産物です。あるいは環境への負荷を最小限に抑え、地域社会に配慮した養殖場で生産されたASC認証を取得した水産物も同じです。これはSDGs「14・海の豊かさを守ろう」の目標に該当します、これらの認証マークがついたサステナブル・シーフードを選ぶことは海洋環境を守る取り組みになります。飲食店で水産物を扱う際には意識して取り入れてみましょう。
雇用の創出
従業員、アルバイトの雇用を生み出し、守ることもSDGsの「1・貧困をなくそう」、「8・働きがいも 経済成長も」などの目標に該当します。新型コロナウイルスの流行で飲食店業界も影響を受け、アルバイトを解雇せざるを得ないお店もありました。そのためアルバイトで生計を立てていた学生アルバイトや、母国に仕送りをしていた外国人の生活も苦しくなってしまうという問題が発生してしまいました。飲食店経営の中でもスタッフの雇用を守ることで、貧困をなくすことになります。また、スタッフが働きやすい環境を考えることも、SDGsに取り組むこととなるのです。
飲食業界のSDGs取り組み事例
脱プラスチックの取り組み
プラスチックごみの削減に取り組んでいる企業が多いです。これまで主流だったプラスチック製のストローではなく紙製のストローへの変更や、アイスドリンクもストローがいらない紙の容器での提供がされるようになったお店もあります。大手ファミレスチェーンではテイクアウトなどで使われるカトラリーをバイオマスプラスチックに変えるなど、脱プラスチックの動きが見受けられます。
サステナブル・シーフードのレストラン
近年ではサステナブル・シーフードを扱う飲食店が増えており、都内ではサステナブル・シーフード専門のレストランもあるほどです。SDGsへの取り組みの一環として、社員食堂にサステナブル・シーフードを導入している企業もあります。また、大手ハンバーガーチェーンのマクドナルドの人気メニューのフィレオフィッシュバーガーのパッケージには、海のエコラベルであるMSC認証マークがついています。これはサステナブル・シーフードが使用されていることを意味します。個人のレストランから大手までサステナブル・シーフードを使用し、海洋環境問題への意識が高まっています。
食品ロスを減らす取り組み
スターバックスコーヒーでは食品ロスを減らすために、期限が迫っている食品の割引での販売を行っています。さらに、大豆ミートなどのサステナブルフードをメニューに取り入れたり、コーヒーの豆かすの再利用など食品を大切にする取り組みがみられます。
食品の廃棄を出さないようにしようという努力はコンビニ業界にもうかがえ、最前列から商品を取るよう促す案内や、値引きシール、ポイント付与など工夫がされています。
食品を扱う飲食業界は、特にフードロスの削減に努めたいですね。
子ども食堂の開設
子供や親、地域の人々に、無料あるいは安価で食事を提供する子ども食堂は、地域住民や自治体、NPO法人などが主体となるイメージが強いです。しかし、居酒屋が営業時間外の昼間に開設したり、ラーメン店など飲食店でも子ども食堂を始めたという事例も見られます。SDGsの「1・貧困をなくそう」、「2・飢餓をゼロに」、「3・すべての人に健康と福祉を」などの取り組みになり、利益を求めてできることではありませんが、地域に暮らす子供たちや人々の生活を守る活動になりますね。
まとめ
今回は飲食店が取り組めるSDGsについて解説をしました。SDGsには17もの目標があり、貧困から環境問題まで課題は様々です。食品を扱う飲食店は、まず食品ロスを減らすことが思い浮かびますが、視野を広げると食品の選び方から食器・容器、雇用の問題まで様々な取り組みがあります。まずは割りばしを洗ってリユースできるものへ、ストローを紙製のものに変えたりとできることから始めてみましょう。食材のロスを減らすことはお店にとってもメリットになります。大手企業は既に取り組みを始めていることがうかがえますが、個人の飲食店はまだこれからといったところが多いでしょう。変化をもたらすことは不安もつきものですが、「SDGsに取り組んでいます」と発信することで、環境への意識が高いお客さんの関心を集めることができます。SDGsは大企業だけで目標を達成することは難しく、個人個人の意識が重要になってきます。飲食店を経営されている皆様のSDGsに取り組むきかっけとなれば幸いです。
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