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#31 人手不足を解消!飲食店の労働環境を良くする方法!

昨今の飲食業界は「ブラック」な職場であるというイメージが強く、慢性的な人手不足に陥っています。人材確保に頭を悩ませている経営者の方も多いでしょう。いくら真面目に経営していても十分に人材確保できていなければサービスの質も売上も低下していってしまう事は明白です。経営者として従業員のモチベーションや生活を守ることはもはや義務といっても差し支えありません。ここではそんなネガティブなイメージの強い飲食店現場の現状とその環境を改善する方法やポイントを解説していきます。

飲食業界は慢性的な人手不足

帝国データバンクの2017年1月の報告によると、飲食店のうち8割超が非正社員についての人手不足を感じています。農林水産省の調査においても、飲食店の欠員率は全産業平均と比べて約2倍高く、大学卒業者における就職後3年目までの離職率は全産業平均が32.2%なのに比べ飲食サービス業では50.2%と非常に高い離職率を示しています。

出典

帝国データバンク「人手不足に対する企業の意識調査(2017年1月)」 https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p170206.pdf 農林水産省「外食・中食産業における働き方の現状と課題について」 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/kikaku/hatarakikata_shokusan/attach/pdf/04_haifu-11.pdf

アルバイト・パート・正社員の不足

意外にも、アルバイト先としての飲食業界は学生を中心に人気があります。ジョブズリサーチセンターが行った意識調査では、探した仕事の職種に、飲食業関連が高校生・大学生等ともに上位にランクインしています。

出典

ジョブズリサーチセンター「<学生版>求職者の動向・意識調査 2018」https://jbrc.recruit.co.jp/data/pdf/pdf201808081117.pdf

にもかかわらず、前述のデータの通り、非正社員、つまりアルバイトやパートについて8割超の飲食店が人手不足を感じています。これは一度アルバイトとして入ったものの、実情を知って辞めてしまう人が多い、つまりアルバイト・パートの定着率の低さを示していると言えるでしょう。また、大学卒業者の高い離職率というデータは、正社員の不足も意味しています。ただでさえ定着率の低い飲食店のアルバイトやパートは、定着したとしても正社員になる考えを持っていない人が大多数です。つまり求職者が少なく離職率が高い、新しく入る人が少なく辞める人が多いのが飲食店の正社員です。アルバイト・パート・正社員、全ての形態の従業員が慢性的に不足している。これが今の飲食業界をとりまく現状と言えるでしょう。

人手不足の理由!飲食店の離職率の増加に陥る原因とは?

ここでは人手不足に繋がる、飲食店の従業員の離職率の増加の原因となっているものについて解説していきます。

不規則なシフトと不定期な休み

アルバイトやパートで働く方は「シフトの融通は聞くのか」「自分や周囲の生活サイクルに合わせて働く事ができるのか」といった要素を重視する傾向が強いです。しかし飲食店は多くの人が休みとなる週末や連休と繁忙期が重なりやすく、さらに営業形態が年中無休や、お酒を出しているお店であれば深夜営業や24時間営業をしているお店も少なくありません。その結果、飲食店は休みが少ない上に希望通りに休めず、家族や周りの友人らと休みが合わないなど、ネガティブに捉えられ、根本的に求人に応募が集まりにくかったり、採用した後の従業員が定着しづらかったりということに繋がってしまいます。

長時間労働

飲食店の離職率が高い原因の一つに、長時間労働が挙げられます。飲食店の営業時間は、他の業種に比べると長く、深夜営業をしているお店も少なくありません。そしてその営業時間自体もお客様が帰るまでお店を閉められないなどといった形で曖昧になりがちです。さらに飲食店は営業時間内だけではなく、営業時間外にも翌日の仕込みや閉店後の片付けなど、人手が必要な作業は多いと言えるでしょう。上記のような状況と慢性的な人手不足が重なった結果、必然的に従業員一人当たりの労働時間が長く、仕事量は膨大になってしまいます。その結果、従業員が働きづらさを感じてしまい、離職する原因となってしまいます。

ハードな仕事内容と低賃金

ほとんどの飲食店では、仕事内容の大半が立ち仕事となってしまいます。また、前述した労働時間の長さに対して、休憩も少ないので体への負担も大きく、過労の原因となってしまいます。また、「お客様は神様です」の言葉に表されるような精神のもと、お客様の満足度を上げたり、クレームを避けたりするために過剰なサービスを提供しなければならない場面も数多くあります。特にお酒を提供するような飲食店であればアルコールの入ったマナーの悪いお客様相手に従業員の立場が弱くなりがちです。必要以上な横柄な態度や理不尽なクレーム、過剰なサービスを求められるあまりに、そのことが従業員の精神面での負担となってしまう事も多いでしょう。そのような体力的にも精神的にもハードな仕事内容にもかかわらず飲食業界は給与水準が低く設定されがちで、頑張って働いても報われないと感じた従業員が離職してしまう原因となっています。

働き方改革!飲食店の労働環境を改善

2017年3月内閣官房によって設置された、働き方改革実現会議の決定により、9つのテーマに沿った「働き方改革実行計画」が定められました。内容を要約すると、「日本の企業の労働環境をより良い方向へ大幅に早急に改善しましょう」というものです。現在飲食業界が抱える人手不足や離職率の高さもこの働き方改革に沿って労働環境を改善していけば、解決していけると言えるでしょう。ここではそんな労働環境の改善について触れていきます。

一人一人の労働時間を見直し生産性を上げる

現在、時間外労働や休日労働に関する例外が厳しく規定されています。具体的には・1ヶ月の残業は45時間、臨時的な特別の事情の場合100時間・2~6ヶ月の平均残業時間は80時間以内・年間残業時間360時間、臨時的な特別の事情の場合720時間以内という制限があります。これを破ると、法的な罰則を科されることもあり、長時間労働は従業員だけではなく、お店にとってもリスクが高いと言えるでしょう。長時間労働を無くすためには従業員一人一人の労働時間が適正か、見直しを行う必要があります。またその際に長時間労働に陥っている従業員がいるかというだけでなく、売り上げに対して営業時間は適正なのか、仕込みや開店準備に無駄な時間をとられていないか、という観点からも今一度労働時間という環境の改善を検討することをおすすめします。時間をとられ過ぎている仕事があるなら積極的に効率化し、業務全体で短時間でも必要な成果を上げる事ができる労働生産性の高い環境を目指しましょう。

評価制度を導入する

給与に関する従業員の不満を改善するためには評価制度の導入をするという手があります。いい仕事をすれば、相応の評価をされ、ふさわしい給与、待遇を受けたいという思いは当然の物です。お店の従業員に対する正当な評価は、従業員のモチベーションの向上にもつながります。その結果、顧客へのサービス向上につながり、顧客満足度も従業員の満足度も上がっていくという、うれしいサイクルの構築が期待できます。またそのような職場から離れたいと思う従業員も減り、離職率の低下にもつながるでしょう。もう既に評価制度の導入を行っているお店も、今一度、「適正に従業員を評価できる制度になっているか?」という観点で見直す事で労働環境の改善につなげることができるでしょう。

労働条件・福利厚生は適正か?

従業員の労働条件に問題はないかもう一度見直してみましょう。具体的には、「週休二日は確保できているか?」「深夜・早朝シフトの連続は起きていないか?」「優秀だからと言って特定の従業員に依存し、それが負担になるようなシフトになっていないか?」「本人の希望に沿うシフトを組めているか?」といった、従業員目線に立った見直しです。従業員と経営者は立場が違うので、この従業員目線に立って考えるという事をついつい忘れてしまいがちです。しかし、こうすることによってお店の現状の把握ができ、浮かび上がってきた問題点を解決することで労働環境の改善を行う事ができるでしょう。また、労働環境の改善と合わせて、社会保険、賞与、各種手当や長期休暇の取得などの福利厚生を整える事で優秀な従業員の定着に繋がるでしょう。

お店の設備を見直す?

お店の設備を見直し、働きやすい環境に改善することも大切です。仕事場であるキッチンやホールはもちろん、従業員の使う休憩室の環境整備で従業員にリラックスしてもらったり、発券機や注文用のタブレットを導入する事によって業務を効率化し、労働生産性を上げたりする事もできるでしょう。設備を見直して何かを導入するとなれば初期投資は必要となってきますが、それで従業員の不満が改善され、働きやすい環境となるのであれば、長い目で見た時に、人件費の削減や売り上げの向上につながると言えるでしょう。

今すぐにできる具体的な働き方改革とは?

働き方改革に沿って業務環境の改善を行と決めたとしても、慢性的な人手不足に悩まされている飲食業界で、改善したくてもしようがない、お店が回らない、といった状況に陥ることもあると思います。ここではそんな時に使える、具体的な方法について解説していきます。

外部リソースに頼る

長時間労働は改善したいが、お店は今まで通りに回したいとなってくると、今まで行っていた業務内容をより少人数で出来るように見直し、改革しなければ成立しません。そのために必要になってくるのが外部リソースです。具体的には清掃関連、仕込みや調理補助、WEBや広告関連、教育(調理接客マニュアルの作成など)、事務作業といった、今までお店が行ってきた業務に明確な境界線を引き、店舗業務を明確にして、外注できるものは全て外部のプロフェッショナルにお願いすることを検討してみてはいかがでしょうか。仮にこれらすべてを外注する事ができれば現場の負担はかなり減ることでしょう。また、外注の依頼先として、フリーランスの飲食マンに業務委託するという方法もあります。フリーランスであれば雇用とは違うので社会保険も福利厚生も必要ありません。正社員に提示する金額より多く支払っても保険の支払いがない分、トータル的に見れば安価での採用が可能で、人員確保と同時にコストカットも期待できます。頼るべきところはしっかりと外部に頼り、従業員が働きやすい環境を作っていきましょう。

営業時間の短縮

今までモーニングからディナーまで営業していたが、長時間労働改善のために営業時間を短縮しようと考えた時に一番の懸念が売り上げの減少です。営業している時間が少ないのだから売り上げが少なくなるのは当然です。しかし、今の時代、飲食店が利益を挙げる方法は料理を提供するだけではありません。イベントや料理教室などへの貸しスペースとしての提供、総菜・弁当屋やゴーストレストランへのキッチンや販売スペースの提供、ランチ営業を外部委託、レンタルオフィスとして貸し出すなどの方法があります。また、飲食店としてではなく、レンタルスペースやパーティ会場としても場所を必要とするお客様も多いでしょう。営業時間の短縮によって生まれた稼働していない時間を他者に貸し出す事によって、原価も人件費も存在しない利益を確保する事ができるのです。固定のお客様が見つかるまでは苦しいかもしれませんが、逆に見つかった場合は安定した大きな収入源になると言えるでしょう。

教育に力を入れる

飲食店の店長や管理職など、責任ある立場になればなるほど一人当たりの作業量は多くなります。役職として沢山の仕事を抱えなければならないのは分かりますが、自分の仕事はできるだけ早めに他人に振り分けてしまいましょう1人でやるより、複数人で分担して仕事をこなした方が効率的な事は明白です。ただ同時に仕事を振る相手のキャパシティも把握して、仕事を押し付けていると従業員が思わないようにしっかりとコミュニケーションをとることに気を付けましょう。そして仕事を振った後はしっかりと後追いしながら、自分の分身を育てるような感覚で後進を教育していきましょう。それが自分にとっても会社にとっても、従業員にとっても有意義な事になります。アルバイトや正社員といった垣根を越えて従業員全員ができる作業を増やしていけば、労働生産性は向上していくでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。現在、飲食業界は慢性的な人手不足に陥っている事は様々なデータからも明らかなようです。その人手不足が長時間労働などの劣悪な労働環境を作り、さらに人が集まらなくなる負のサイクルが出来上がってしまっているようです。それを打ち破るためには従業員目線に立った労働環境改善の働き方改革を行い、従業員の定着率を上げる必要があります。様々な方法を駆使して、お客様の満足度だけでなく従業員の満足度も高い店を目指していくことが現代の飲食店経営に求められているのかもしれません。

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