飲食店の開業する際に、経営や経理について何か学んでおいたほうがいいのでは…と不安になっているオーナーさんも少なくないといえるのではないでしょうか。ここでは飲食店の経理の基本、会計処理のポイントなどを紹介していきたいと思います。経理について学び決算書、損益計算書などを理解できるようになることで得られるメリットについても考えていきます。税理士に依頼をする、という選択肢もありますが、まずは飲食店の経理とはどういったものになるのかを知ってみましょう!
目次
飲食店の経理の基本とは?
飲食店経営は「現金主義」
経理とは会社の資産を管理することですが、飲食店の経理においては「現金主義」の考え方のもと行っていくことになります。現金主義とは、売上も仕入れも現金で入ってきて現金で出ていくという考え方のことを意味します。企業では現金ではなく有価証券などで取引されることも多いですが、飲食店では現金を用いることが一般的でしょう。近年キャッシュレス化が進んでいますが、現状飲食業は売上や仕入れにおいても現金でのやり取りが多いため、現金での会計処理を行うことになります。
注意しよう「減価償却」
「減価償却」とは、固定資産の購入にかかった費用を使用可能な年数に少しずつ分割して計上していく会計処理のことです。設備、機械、備品などの時間が経過すると価値が下がってしまうものを減価償却資産といい、使用可能期間の間で購入費用を計上しなければなりません。
例えば飲食店においては厨房設備がこの減価償却資産にあたると言えます。厨房機器は高額なものであり、そして購入後何年にもわたって使用していくものなので、減価償却されるものと考えましょう。購入した厨房機器も年数とともに劣化をしてしまうので、耐久年数についても考慮して費用を分割計上していく必要があります。
飲食店は厨房の設備を整えるために高額な費用がかかります。減価償却はきちんと理解して注意しておきたい考え方のひとつですね。
飲食店の会計処理・帳簿を付けるポイント
飲食店の勘定科目
飲食店を開業したら、お金の入出がある都度帳簿(現金出納帳)を付けていきます。
ここでは飲食店で使用する勘定科目を紹介します。
勘定科目とは経営するうえで発生したお金の流れを、「何に使ったのか」「なぜ入金があったのか」を示す見出しのことです。
具体的に飲食店の場合は以下のものが主に使用する勘定科目になります:
- 売上…一日の売上合計
- 仕入れ…食材など材料を仕入れた代金
- 水道光熱費…ガス・電気・水道代など
- 通信費…電話・郵便・ネット代など
- 消耗品費…店内備品の購入にかかった費用
- 地代家賃…借店舗の場合家賃
- 法定福利費…社会保険・労働保険など
- 減価償却費…減価償却の費用
- 従業員の給与
このように様々な管理項目がありますが、帳簿はこまめに記録していくことがポイントとなります。
現金以外で決済した場合の帳簿は?
現金でのやり取りが多く、基本的に飲食店の経理は現金の入出で会計処理を行うことになりますが、近年はキャッシュレス決済が普及し、現金以外での決済が全く発生しないとは言えません。
実際にクレジットカードをはじめQRコード決済に対応する飲食店も増えています。
では、現金ではなくキャッシュレスで決済した場合帳簿への記録はどうなるのでしょうか。
クレジットカードなどのキャッシュレス決済は、売上げた日から代金が入金されるまでに数日かかります。ですが売上を計上するのは売上げた日になるため、帳簿にはその旨を記録する必要があります。そういった場合に「売掛金」という勘定科目使用することになります。キャッシュレス決済があった日に「売掛金〇〇円」と記録します。さらに決済手数料で差し引かれた金額も忘れず記録しましょう。数日後に代金の入金が確認できたら、売掛金が入金された旨も帳簿に記録します。ここまでがキャッシュレス決済が発生して入金がされるまでの帳簿の記録の流れになりますので、忘れず記録をしましょう。
飲食店の経理に必要な書類は?現金出納帳の作成
飲食店の経理を行うにあたって必要な書類について説明していきます。まず、飲食店に限らず各種伝票(入金伝票・出金伝票・仕入伝票・売上伝票・振替伝票など)が入出金の記録を管理することに必要になります。そしてその伝票をまとめて取引や会計を記録するものとして帳簿を作成します。
「飲食店の会計処理・帳簿を付けるポイント」項でも帳簿について説明しましたが、この帳簿がいわゆる「現金出納帳」です。簡単に説明すると家計簿のようなもので毎日のお金の入出を記録していくものになります。例えば、材料を購入した際には支払ったお金として出金額に記入ししたり、一日の売上を入金額に記入したりと記録します。一日の最後には現金出納帳と実際のレジのお金が合っているかを確認しましょう。
このように毎日お金の入出を記録することで、毎月の収入や必要な経費を知ることができます。
簿記は勉強したほうがいい?メリットとは
経理を行っていくうえで簿記は勉強したほうがいいのか?と悩むオーナーさんもいらっしゃるかと思います。ここでは簿記を学ぶことで得られるメリットについて説明していきます。
そもそも簿記とは?
まず簿記とは、簡単に説明すると「お金やものの出入りを記録するための方法」であり、日々のお金の入出・取引を帳簿に記録をして、最終的に決算書を作成するまでの流れのことです。ここまで説明してきた経理についての作業が、簿記にあたりますね。「飲食店の会計処理・帳簿を付けるポイント」でも「勘定科目」という用語が出てきましたが、これは簿記で使われる用語になります。
簿記を勉強する最大のメリット
簿記を勉強することの最大のメリットは、決算書を読めるようになることといえます。
決算書は、「どのくらい儲けが出て、または損失が出たのか、そしてどのような財政状態にあるのか」を報告するための書類です。
簿記を勉強することによって、仕訳(日常の取引の記録)から決算書を作成するまでの流れと仕組みがわかるようになります。決算書は自店の経営状態を把握するための重要な存在であるため、決算書の内容がわかるのとわからないのではお店の経営に大きく関わってきますよね。
簿記を学ぶことで得られるメリットは大きいのではないでしょうか?
簿記を学んだら、損益計算書を考える
簿記を学んだら、まずは自店の損益計算書を考えてみましょう。
損益計算書とは、一事業年度における収益と費用を表したもので、その会社・お店の成績表のようなものです。売上、原価、家賃、人件費、水道光熱費、消耗品費、クレジット手数料などを調べていきます。人件費に経営者の分は含まなくていいです。それぞれの費用が確認出来たら、
売上-仕入-各種経費=利益
の計算で経営者にどのくらいの利益が残るかがわかります。
この計算をあらゆるパターンで行うことで、様々なお店の経営の成り立ちを考えることができます。
簿記を勉強することは、このように経営について学ぶことにも繋がり、メリットと言えますね。
簿記の勉強は日商簿記3級がおすすめ!
もし簿記の勉強を考えているのでれば、日商簿記の3級をおすすめします。
日商簿記であれば初級、3~1級までがありますが、3級を勉強すれば簿記の必須の基本知識を学び、大体の仕組みを理解することができるでしょう。3級の検定試験は年に3回実施されるので、勉強するだけでなく、実際に検定に挑戦してみるのも良いかもしれませんね。
依頼したほうがいい?税理士にサポートしてもらうメリットとは
経理について自信がなく、税理士への依頼を迷われているオーナーさんもいらっしゃるのではないでしょうか?ここでは税理士にサポートしてもらえることで得られるメリットを説明していきます。
まず、税理士は税務や会計処理を行ってくれるのはもちろんですが、店舗経営のサポートをしてくれる存在とも言えます。お店をもつオーナーさんにとっては、客観的に自店の経営状態について考えることが難しい場合もあるでしょう。しかし、税理士は数値に基づいて経営を考えるプロです。経営者自身では気づけない客観的な意見や、他業種・同業種問わずさまざまな数値をみてきた税理士から考えられる自店の経営状態など、オーナーさんだけでは得ることが難しい判断材料が得ることができます。
また、経理の作業は手間と時間がどうしてもかかってしまい、本来の飲食事業に費やす時間が圧迫されてしまうことがあります。会計処理を税理士に任せることで、オーナーさんは仕入れや仕込み、集客などに集中することができ負担が軽減されますね。
税理士は会計処理だけを行ってくれる存在、というよりはオーナーさんと一緒に経営をサポートしてくれる存在です。税理士のサポートは経営に不安があるオーナーさんにとっては心強く、大きなメリットになるといえるでしょう。
まとめ
今回は飲食店の経理に関して、基本的なことから実際の会計処理について説明をしました。
「経理」と聞くと難しく面倒なイメージが浮かんでしまいますが、ポイントは「こまめに帳簿を記録すること」です。お店が開いていれば毎日お金の出入りは発生するので、都度記帳を心掛けましょう。
ただでさえ忙しいオーナーさんだと思いますが、簿記を勉強することで経理の仕組みを理解できますし、決算書や損益計算書が分かるようになりります。自店の経営状態を知る知らないでは、店舗の成功には大きな差が生じることでしょう。もしも「経理に不安がある」、「会計処理や勉強に時間がさけない」とお悩みであれば、税理士に依頼することもひとつの手段です。自身だけでは解決できない経営の悩みを手助けしてくれるよきビジネスパートナーを得ることができるでしょう。
これから飲食店の開業に向けて準備をしているオーナーさんは、日々の会計処理の仕方はもちろん、簿記をはじめとする経理についての勉強も進めておきましょう。お金に関する知識を身につけておくことが、経営戦略を練っていくためにも必要となってくるでしょう。
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