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#35飲食店における資金調達!融資を受けるポイントや補助金などを解説!

飲食店を開業しようとしている時や、経営不振で資金繰りが厳しくなっている時、頭を悩ませるのは運転資金の調達という事でしょう。融資や補助金を使って資金調達を考えているけれど「借金をするのは……」「手続きが複雑……」といった気持ちから一歩をふみだせずにいる人が多いのではないでしょうか。しかし、しっかりと融資や補助金の仕組みや知識を把握したり、事業計画を設定したりすることでその不安は払しょくする事ができます。しっかりと制度を理解し、計画的な資金調達へ踏み出しましょう。

そもそもなぜ飲食店の資金繰りが悪化してしまうのか?

まずはそもそもなぜ飲食店の資金繰りが悪化してしまうのか、これを理解しないまま融資を受けて場当たり的にお店を持たせたとしても根本的な解決にはつながりません。ここではまず飲食店の資金繰りの悪化の要因として多い4つのケースを解説していきますので、是非お役立てください。

キャッシュフローと資金繰り表の重要性への理解不足

キャッシュフローとはお店にお金が出入りする流れの事です。入ってくるお金(キャッシュイン)よりも出て行くお金(キャッシュアウト)の方が多くなり、手元資金が足りなくなってしまう事を資金ショートと言います。このような状況を回避するために必要となってくるのが資金繰り表です。「いつ、どの程度のお金が入るのか、出て行くのか」をきちんと把握し、それを資金繰り表として見える化することで何が資金繰りを悪化させているのかがはっきりとわかるようになります。また、売り上げがどれくらい減少すれば経営が危険な状態になるのかも把握できます。さらに、過去のデータを基に未来の資金繰り予定表を作成しておけば運転資金が足りなくなる前に先手を打って資金調達を行うといった迅速な処置を行う事ができます。様々な要因で売り上げが変化する飲食店経営では、一般に3ヶ月分以上の運転資金を持っていれば安心だと言われています。自店舗のキャッシュフローを把握し、資金繰り表、予定表を作成することは健全な資金繰りへの第一歩です。

入金と支払いのタイミングのずれ

今までの飲食店では現金商売が主であったためキャッシュフローをあまり意識せずともやってこられたかもしれません。しかし昨今のコロナ禍において、非接触で支払えるという特性も相まってキャッシュレス決済は無視できない流れとなって広まっています。このキャッシュレス決済では今までの即時入金だった現金商売とは違い、入金が1ヶ月先になるなど、時間差が生じてしまいます。この時間差によって支払いのタイミングが入金より前になってしまうと資金繰りが悪化しやすくなります。それを避けるために、入金はできるだけ早く、支払いはできるだけ遅くするのが、資金繰り改善のためのポイントになります。キャッシュレス決済はどうしても入金までに時間差ができてしまうものですが、最近では入金サイクルが短いサービスも登場しているので是非チェックしましょう。また、支払いを遅くする方法として、都度払いや前払いで仕入れをしている場合は一括の後払い、またはカード払いに変更してもらうという方法がありますが、取引先との交渉が必須となってきますので関係性の悪化を招かないよう十分気を付けて交渉することをお勧めします。

売り上げ見込みの甘さ

事前の想定よりも売り上げが伸びず、資金繰りが悪化してしまう。という状態は飲食店において多くみられるパターンの一つです。開店直後は話題性もあり、お客様が多く訪れ、賑わって売り上げが伸びていたとしてもそれがずっと続くわけではありません。また、常連客で売り上げを作っていたお店でもそのお客様が何らかの都合で来られなくなったり、他の店に流れて行ってしまったりする事はよくあります。売り上げが減っているのにその理由を特定できず、何の対策も足らなければ売り上げの減少が続き資金繰りは悪化します。売り上げを確保するためには新規顧客の開拓とリピート客の維持、この二つの取り組みを同時に行うことが重要です。

事業拡大失敗のしわ寄せ

資金繰り悪化の要因の一つとして、事業拡大時の失敗があげられます。見切り発車で店舗数を増やしたり、移転によって売り上げアップを目指したものの思ったような結果が出なかったりといった場合です。事業拡大には大きな額の資金を投入するので収益が悪化して資金繰りが悪化し、どうしようもなくなれば倒産といった結果もあり得ます。事前に入念な計画を立て、綿密なリサーチをするのはもちろんの事、資金調達の際に多少事業が悪化しても返す事ができる、無理のない返済計画にしておくことも重要です。

融資、補助金、助成金、の違いとは?

資金を調達する方法として大きく「融資」「補助金」「助成金」といったものがあげられますが、何が違うのかイマイチよくわからないといった方も多いと思います。ここではそれぞれの違いや特徴について解説していきます。

融資

金融機関から、お金を借入することです。そのため、利息と返済の義務が生じます。特徴としては審査さえ通れば開業前に資金を得ることができるので開店資金の調達にも利用する事ができます。また、融資には「プロパー融資」と「信用保証協会による保証付き融資」の二種類があります。「プロパー融資」とは金融機関と借入人が直接契約して行われる融資のことで、一般に、銀行融資を指します。メリットは借入上限金額が高く、また金利が低い事です。しかし、その分厳しい審査基準を設けているため経営状況が悪化している企業や開業から間もない企業はほぼ融資は期待できないでしょう。二つ目の「信用保証協会による保証付き融資」とは小規模事業者や中小企業が融資を受ける時に保証してくれる機関、「信用保証協会」を利用して融資を受ける事です。借主が返済できなくなった場合に「信用保証協会」が代わりに返済してくれる仕組みがあり、金融機関の貸し倒れリスクがなくなるため、プロパー融資に比べて審査に通りやすくなります。そのため小規模事業者が融資を受ける時はこちらの方法が一般的です。しかし、借入額の0.5〜2%程度の保証料を信用保証協会に支払う必要があります。

補助金

補助金とは、税金を財源とし、経済産業省の管轄のもと、地方公共団体や民間団体から支出される、開業や事業を成長させるための設備投資をサポートすることを目的に、個人事業主や企業に支給されるお金です。原則返済不要です。審査に通った場合のみ、後払いで受け取る事ができます。注意点としては募集期間が年に数回のみと少なく、倍率も高いため申請してももらえない可能性があるという点です。

助成金

助成金とは雇用保険料を財源とし、厚生労働省の管轄のもと、地方公共団体、民間団体から個人事業主や企業に支給されるお金のことです。原則は返済不要、後払いです。審査は無く、必要な条件を満たし、認められれば受け取れます。また募集期間が比較的長く、補助金と違いスケジュールに余裕をもって申請することができます。

どれを選ぶ?融資を受ける金融機関の種類

前述した融資を受ける際には以下の4つの金融機関から選んで融資を受けることになります。それぞれに金利や限度額、返済期限などの特徴が異なるので自店舗に合った金融機関を選ぶようにしましょう。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、政府が出資している金融機関です。

・金利

基準金利2.06%〜(無担保の場合)
基準金利1.11%〜(担保を提供する場合)

・限度額

一般貸付4,800万円 ※様々な融資制度があり、別枠での貸し付けも可能

・返済期間

一般貸付7年(運転資金の場合)※据え置き期間を設けている場合も多い

メリットとしては金利が低い事、無担保、無保証での借り入れが可能な事、経営が悪化した場合の融資制度も設けているといった点があげられるでしょう。デメリットは審査に時間がかかるうえに、その審査がかなり厳し目に設定されているという点です。審査に通るためには必要書類をしっかりそろえる必要があります。また、面談も重視されるため面談の対策も入念に準備する必要があります。

銀行

大手メガバンクや地方銀行、ネット銀行などでも融資を行っています。

・金利

概ね1.0〜3.0%

・限度額

審査状況や銀行によって変わる

・返済期間

概ね5〜7年

銀行の融資は金利が低いため審査によっては大きな資金調達が可能ですがプロパー融資は審査が厳しいため飲食店ではハードルが高いのが事実です。そのため信用保証協会の保証付き融資が基本となります。また、メガバンクは大口融資には強いものの個人の店舗の借り入れは厳しくなっています。

信用金庫

信用金庫は、地域の相互扶助で運営される金融機関です。営利が第一目的ではないため、小規模事業者や個人事業主にも積極的に融資を行っています。

・金利

概ね2.0〜4.0%

・限度額

審査状況や信用金庫によって変わる

・返済期間

概ね5〜7年

信用金庫は地域の商店や中小企業の資金援助に積極的であるため、小規模事業者でも融資を受けやすい事が大きなメリットとして言えるでしょう。デメリットとしては銀行よりも金利が高めに設定されているため、返済負担が大きくなることと、限度額が銀行よりも低いため、望んだ額の融資を受けられない可能性があるという点です。

ノンバンク

ノンバンクとは、消費者金融や信販会社など、融資のみを取り扱う貸金事業者です。

・金利

概ね2.0〜18.0%

・限度額

500万〜1,000万程度

・返済期間

概ね1ヶ月〜5年

ノンバンクのメリットは審査基準が他と比べて厳しくない事と最短で即日融資も可能な程の審査スピードの速さです。なので「今すぐに繋ぎの資金が必要」や「他の金融機関で審査が通らなかった」といった場合の選択肢になります。デメリットとしては金利が高い点です。法定金利ギリギリを設定しているようなノンバンクもあるため返済計画をしっかりと立ててからの利用をお勧めします。

運転資金の融資を受けるために銀行に納得してもらうコツや融資成功のポイント

運転資金の融資を受けるためには銀行の審査を受け、合格しなければなりません。ここでは融資を受けるために必要なコツやポイントについて解説していきます。

融資を受ける前に押さえておくべきこと

まず融資を受けるための必須条件として公共料金、家賃、税金の滞納が無いことがあります。公共料金には水道光熱費、電話料金なども含まれます。全て滞納が無い状況にしてから融資を受けるようにしましょう。また、融資の審査では過去の信用情報についても調べられます。そのため、消費者金融からの借り入れや、過去五年間に債務整理をしたという事実があれば審査に通るのは難しくなってしまいます。そして、飲食店が融資を申請する場合、貯金と支援金の合計が300万円以上あることが望まれます。親族に金銭的支援ができる人がいる事を確認するために、自己貯金額は100万円以上、そして親族からの支援金を含めて300万円以上のお金を用意できれば審査に通りやすくなると言えるので、融資を受けるために準備できるのであればすることをお勧めします。

審査に通るために必要な人格と計画書

「貴方の人格も見られている」

融資の可否の判断において一番重要なのは事業計画書の中身であることは間違いのない事なのですが、実際に対面で話す事によって銀行は融資希望者にお金を貸すかどうかを決めます。つまり、決済の可否に担当者の心情も少なからず影響するということです。担当者にいかに「この人ならしっかりと返済してくれるだろうから安心してお金を貸せる」と思わせられるかどうかもまた事業計画書と同様に重要になってきます。飲食店を開業される方はパッションを持って仕事に取り組む方が多いと思いますが、これは担当者にアピールすべき点と言えるでしょう。融資希望者は自分の持つビジョンについて熱量を持って話し、同時に現実的な地に足のついた視点からその計画を立案しているという事を担当者に納得してもらう必要があります。お金の貸し借りを通じてこの人と一緒にビジネスをやりたいと思わせる事が融資の可否決定には重要です。最終的に判断するのは人であるため銀行の担当者と円滑なコミュニケーションを重ね、貴方の人格を認めてもらう事こそ融資成功の鍵であると言えるでしょう。

事業計画書をどう作るか

融資において銀行側は貸したお金が返ってくるのか、という事が一番重要です。つまり返済能力のある飲食店と判断できなければ、融資をしてくれません。返済能力があると判断されるためには、提出した事業計画・資金繰り表をベースにシミュレーションを実施する方法があります。しかし、事業計画書上で最も売上の立つ場合(ベストシミュレーション)だけを提示しても、根拠が乏しく、納得されない可能性があります。そのため、「売上が立たない最悪の想定」(ワーストシミュレーション)の計画も同時に用意しましょう。このワーストシミュレーションも同時に提示することで、「売上が最悪でもこれくらいお金が返ってくるのか」と銀行を納得させることができます。またどんなことを聞かれても説明ができるようにすることと、その根拠を用意する必要もあります。そのために売上計画は単価や顧客数などに細分化しておきましょう。「なぜ、この数字になるのか」という事を、単価、平日休日、人件費、集客数など細かくして行く事で数字の説得力を高めていきましょう。

融資以外で飲食店の資金繰りを改善する方法

最後に、融資以外での飲食店の資金繰りを改善する方法をご紹介します。

借入金の返済計画をリスケする

金融機関への返済が資金繰りを圧迫している場合、返済期限のリスケジュールを交渉して、返済期限を先に延ばすなどの方法で資金繰りの改善を図る方法があります。その場合は現状をしっかりと認識した無理のない返済計画にするようにしましょう。ただし、リスケをすると新たな融資は受けにくくなるため、そこには注意が必要です。

補助金・助成金

融資との違いの項目で解説した補助金や助成金を活用して資金を集める事も資金繰りを改善するためには有効な対策と言えるでしょう。以下に利用できる補助金、助成金の一例を示しますので参考にしてみてください。

創業補助金

創業時に必要な資金の一部を国や地方公共団体が支援してくれる制度のことです。
支給額:最大200万円
対象者:創業を行う個人、中小企業、小規模事業者等
補助対象経費:店舗借入金・設備費・人件費・広報費等
運営:中小企業庁

新規開業賃料補助制度

創業当初に賃料の一部を助成し、新規開業を支援してくれる制度です。最寄りの自治体のホームページで告知されています。
支給額:月額5万円
対象経費:店舗賃料、事務所賃料
対象者:該当地区で創業した法人・個人

小規模事業者持続補助金

開業後に販路開拓に取り組む費用や、ホームページやチラシの作成等に利用することができます。
支給額:最大50万
対象経費:広報費、開発費、機械装置費等
対象者:製造業、小売業、サービス業等に属する事業者。サービス業の場合は従業員数が5名以下であることが条件。

クラウドファンディング

昨今生まれた新たな資金調達方法として「クラウドファンディング」の存在があります。現在、様々なクラウドファンディングサイトがありますので特長を調べ、目的に対して適切なものを選択するようにしてください。また、認知度の向上やファンを得るなど広報的機能としても活用できる場合もあります。飲食店の開業資金や運転資金の調達だけでなく、副次的効果も視野に入れながら検討するとよいでしょう。「クラウドファンディング」に関しましては下記の記事に詳しく解説しておりますまとめてありますのでぜひ参考にしてみてください。

親族、友人関係、パトロンからの資金調達

最もポピュラーな資金調達の方法と言えるでしょう。しかしお金の絡むことである以上、たとえ親族や親友であっても返済義務の有無、利子、返済期間といった事をしっかり明らかにして紙にまとめて借用書の代わりにしておくことをお勧めします。また親族からの資金調達は自己資金として扱え、銀行から融資を受ける際に有利に使う事ができる一方、友人やパトロンから調達した資金は「見せ金」の可能性を恐れて融資担当者が厳しくチェックする傾向にあります。友人やパトロンから調達した資金を自己資金として金融機関からの融資を受けたいと思う場合はそのチェックをクリアできるように出資者の身元確認や贈与契約書をしっかり作成するようにしましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。まず、融資を受ける前に資金繰りの悪化の原因をしっかり認識し、改善策を用意する必要があります。またいざ融資を受けようと決めても前段階として滞納を無くしたり、融資先の金融機関の選定をしたり、融資を受けられるような事業計画書の作成をしたり、人柄を理解してもらえるようなプレゼンをしたりなど、やることはたくさんあるようです。融資以外の方法も選択肢の一つとして考え、それでも融資を受けられるように最大限の努力を惜しまないことが資金調達のために一番大切な事だと言えるのではないでしょうか。

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